2009年4月25日土曜日

《裁判》第二回公判

初公判から一ヶ月半、今回も家族全員参加である。


地裁 第XXX号法廷
10:15~10:30
(今回もこの短い時間帯に4件)


この日は新しい証拠としてテレビ放送された時の録画ビデオを提出
私の弁護士さんが「次回に技術的答弁の準備があります」と言って、おしまい。




弁護士さんから、「原告本人や家族の陳述書があった方が良い」と言われ、書くことにする。

こちらのホムペをずいぶん参考にさせていただいた。(感謝

技術士

少し遡るが、テレビに出て数日後、弁護士さんから「技術士に意見書を書いてもらえるがどうするか?」と連絡があった。

企業相手の裁判で、消費者側に廻ってくれる技術者を探すのは大変と聞いていたので、ありがたくお願いする事にした。


さて、鑑定に必要な図面類を技術士さんに見せるのに苦労した。以前は貸出しを了承してくれていた理事会が、テレビ放送(実名無しのボカシ映像だったが、わかる人にはわかったらしく、私の部屋に文句を言いに来る住人もあった)されたからかどうかはわからないが「貸出しはできないので集会室で見るように」との事になり、技術士さんに来てもらい短い時間で見てもらうしかなかった。

その他に過去の騒音測定資料を渡したり、現場を見てもらって意見書を書いてもらう事とした。


《裁判》被告準備書面(1)

初公判から一月過ぎ、やっと被告の「準備書面(1)」が来た。
答弁書で、「追って主張する」としていた部分だ。

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被告の主張


1、錯誤無効の主張について

本件売買契約が締結されるに至る経緯において、販売業者従業員が原告から、本件駐車機の機械音に関して質問を受け、確認を求められた事実は存在しない。
原告からは、本件駐車機の機械音についての質問をなし、あるいは確認を求めた事実は一切存在しないものである。
本件駐車機の機械音は、音量にしても決して大きいものではなく、そもそも利用する居住者が自動車を出入庫させるときしか生じず、時間にして1台の出入庫につきせいぜい数十秒程度、回数ににしても駐車機に駐車しうる台数に応じた極く限られた回数しか生じないものである。
仮に毎日のように、本件駐車機に自動車を出入庫させる居住者がおり、その機械音が物理的に本件居室へ伝搬したとしても、それは、一般通常人の感覚からすれば、睡眠を妨げるようなものでは決してない。
原告が、本件売買契約を締結した際に、本件駐車機の機械音が本件居室に伝搬しないことが動機として表示された事実はなく、また、原告に動機の錯誤があるとしても要素の錯誤にあたらず、原告の主張は失当である。
なお、類似ケースとして主張する判決で問題とされているポンプは常時稼動するものであり、自動車の出入りの時に限って稼動する本件駐車機とは同一視できるものではない。
被告はもとより、本件マンションの設計会社(立体駐車機を屋内に設置する設計を多数手がけてきた実績を有している)、本件駐車機のメーカー(マンション屋内に設置する立体駐車機を幾多も製造し、納品してきた実績を有している)のいずれにおいても、マンション屋内に設置した立体駐車機による騒音・振動により、これまでクレームを受けた例はない。

2、瑕疵担保責任について

本件居室には、物理的に本件駐車機の機械音が伝搬したとしても、一般通常人の感覚からすれば、睡眠を妨げられるなど日常生活上支障を来すような音はなんら生じていないのであり、住居としての一般的性質を欠いていないことは明らかである。
原告が呆れた施工と主張する、駐車機の消火配管の設置方法、GL工法については、屋内に立体駐車機を設置するマンションの設計・施工として通常のものである。
本件居室に瑕疵はない。

3、詐欺取消及び不法行為について

原告は、被告が、①機械音は居室に聞こえないと回答したこと ②機械音につき質問を受けた被告には、機械音が発生する可能性について、これを「原告に告知する義務が存し、それを告知しないまま、原告に本件売買契約を締結させた」こと、をもって不法行為と主張するが、①については質問を受けた事実はなく、また、その機械音が居室で聞こえない旨述べた事実はない。
②については、現に、一般通常人にとって通常気になるような音は生じていないし、本件売買契約締結時、被告(および販売従業員)は、そのような音は生じないと認識していた。
被告はもとより、設計会社、駐車機メーカーにおいてすら騒音・振動により、睡眠が妨げられる等のクレームをこれまで受けた例はなかったのである。
かかる状況において、被告には、原告から本件駐車機の機械音について特別の懸念が表明されることがない限り、音が伝案する可能性がある旨説明すべき義務はない。
従って、なんらの義務違反も存しない。

4、消費者契約法違反について

本件機械音は、一般通常人の感覚からすれば、日常生活上、なんら支障を来すことはなく、なんら気にならない程度のものであり、 本件居室の売買契約を締結するか否かについての判断に影響を与えるものではない。
さらに、被告には何らの虚偽説明も、説明義務の懈怠も存在しない。

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要は、

騒音について原告から質問された事も無いし、
騒音は一般常識人において気にならない程度のものであり、
被告も設計会社もこれまでクレームを受けた事は無い。

という主張である。

素人の私が、赤本(建築物の遮音性能基準と設計指針)等の専門書、また専門家や騒音被害経験者からも情報を得て、訴えているのに、あいかわらず、一般常識という主張に終始しているのには驚いた。


2009年4月23日木曜日

《裁判》初公判

初公判は普通、代理人だけで済ませる様だが、
家族全員で行った(家族全員は傍聴席、弁護士さんが原告席)
被告は若い弁護士さん一人。
(答弁書には4人の弁護士の名前があり、弁護士検索で調べるとこの若い弁護士さんは2年目らしい)

地裁 第XXX号法廷
13:15~13:30
この短い時間で4件の裁判があり、正直驚いた、
私は一つの事件だけ(つまり私の事件)の始まりが
13:15だと思っていて「30分くらいかなぁ」と思っていたのだが、、
(それに、だれでも、傍聴席に入れるのにも驚いた)

1件目は『結審』だったみたいで、「~ウン億円~」とか言う単語が混じった判決文を裁判長が読み上げて、おしまい。

2件目は『家賃滞納』で、被告本人が来ていて「もう、払いました!」とか言ったけど、裁判長は「こんなことで済むと思って繰り返さないように!」と諭していた。(裁判官も大変だ)

3件目は『立ち退き』で、どうも”被告”が来ないみたい。で、初公判で結審だった。

さて、4件目は私、おととい被告から来た”答弁書”を昨日見ただけなので、
この初公判で何の進展のあろうはずもなく、、、


ただ、裁判長が、あまりこの様なケースの経験が無いらしく
「40デシベルってうるさいの?」て聞いた
原告側は「うるさいです」
被告側は「通常生活に支障はありません」
と当然答えた、、、

で初公判はおしまい。



何もしなかったのに疲れた。弁護士事務所に戻ると弁護士さんから
・今回の裁判長は”和解”が多い
・初公判から意見を聞くことは珍しい
という事を聞いた。


《裁判》「答弁書」

提訴から1ヵ月、第一回公判の2日前に被告の「答弁書」が来た。

もちろん調停の時と同じく、記録に残っていない都合の悪い事実は全て「否認」と「不知」なのである。



答 弁 書


1,第1 「原告及び原告家族の生活状況並びにこれまでの経緯」について

 原告の証拠書類によれば最大騒音レベルが40dBA、N値が45であると記載されていることのみ認め、その余の主張事実はすべて否認ないし不知。
 原告は、「マンションの共通設備から聞こえる固体伝搬音に関しては、それはレベルの問題ではなく、そもそもそれが聞こえるということだけで入居者に不快感を与える種類の音である」と主張しているが、本件機械音は、一般通常人の感覚からして日常生活上まったく支障のない程度である。
 消火配管の設置は行政官庁から指導を受けたものであり、また、被告は、駐車機の選定についても作動音の少ないものを選定しているし、さらに、本件駐車機の階上となる居室のスラブについても十分な厚みを確保している。
 本件マンションにはGL工法が用いられている壁があることのみ認め、その余の主張事実は全て否認する。
 本件マンションの「竣工図」にはリシン吹きつけの記載があるが、建築途中で設計変更がなされており、それが反映されないままになっていたものである。
 「暫定的な調停」であることは否認する。
 調停における措置は、すべて原告が希望した措置であり、被告としては、円満な解決を図るべく、調停に同意したものである。

2,第2 「錯誤無効」について

 原告がモデルルームに来訪したことのみ認め、その余の主張事実はすべて否認する。

3,第3 「瑕疵担保責任」について

 すべて否認ないし不知。すべて争う。

4,第4 「詐欺取消及び不法行為に基づく損害賠償請求」について

 すべて否認ないし不知。すべて争う。

5,第5 「消費者契約法違反による取消」について

 すべて否認ないし不知。すべて争う。

被告の主張

 追って主張する。


2009年4月18日土曜日

《裁判》「訴状」

訴状A4縦12ページの要約部分


訴  状

不当利得返還等請求事件
 訴訟物の価格 金○○○○万○○○○円
 貼付印紙類  金○○万○○○○円
 予納郵券   金○○○○円
請求の趣旨

1 被告は原告に対し、金○○○○万○○○○円及び内金○○○○万○○○○円に対する○○年○○月○○日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

請求の原因

第1 原告及び原告家族の生活状況並びにこれまでの経緯

 本件居室の階下には24時間入出庫自由の機械式駐車機が設置されており、作動の際の昇降時「ウィーン」という機械音、横行時「トントントントン」という機械音が発生し、本件居室に響いている。
 機械音の測定結果は、デシベル値(=dBA)では40デシベル、N値はN-45の固体伝搬音である。
 マンションの共用設備から生じる固体伝搬音に関して、それはレベルの問題ではなく、聞こえるというだけで入居者に不快感を与える種類の音である。
 原告及び原告家族は、本件機械音により睡眠を妨げられている。
 住居で睡眠が十分にできることは当然の前提として住居を購入している。そこで、睡眠が満足にできないとなれば、それは居住スペースとして評価できない住居を購入したものであり、入居者は契約の目的を達することができず、売主としても債務の本旨に従った履行をしていない。
 本件機械音が伝搬する経路については、現在も分かっていないが、理解に苦しむ呆れた施工がされている。
 ・居室床下には消火配管が吊るされているが、その配管は数十箇所にわたり本件駐車機に固定されていた→本件機械音が伝搬するような施工がされた上で販売されていた。
 ・マンション壁は遮音性に劣るGL工法を用いていた→機械音が駐車スペース内で響き、駐車スペース内壁から階上の居室へ伝わることは十分考えられた筈
 施工図では、本件駐車機の天井にはリシンが吹き付けられているとされているが、実際にはリシンは吹き付けられていない。
 ○○弁護士会において暫定的な調停が成立している。
 調停の際、原告より駐車機とマンション消火配管との引き離しを求めたが、不可能との事でゴムを噛ませたり、遮音工具の取り付けを双方協力し行ったが、効果は認められなかった。

第2 錯誤無効

 原告は購入の際、販売員に対し、駐車機からの音が居室に伝わることはないかと質問したが、居室下は吹き抜けになっており伝わらないとの回答を得た。
 原告は、販売員を通じて被告への確認も要請し、その回答としても問題ないとの事であった。
 原告は、本件駐車機からは音がしないことを本件居室の購入の動機として明確に表示した上で、売買契約を締結した。
 駐車機から発生する音が伝搬しないことが動機として表示されているところ、機械音が発生しているので、本件売買契約は錯誤により無効である。
 本件と極めて類似するケースとして、居室下の給水設備を設置していた場合における、錯誤無効を認めた判例がある。

第3 瑕疵担保責任

 就寝している時間帯に機械音により、原告らが目を覚まし、安眠ができないことは、当然、住居として適さない居室であり、隠れたる瑕疵である。
 原告らがそれを甘受しなければならない理由はなく、明らかに受忍義務を超える。瑕疵担保責任に基づき、本件売買契約を解除する。

第4 詐欺取消及び不法行為に基づく損害賠償請求

 被告は、機械音が本件居室には聞こえないと回答しているが、駐車機と消火配管の結合、壁をGL工法とするなら、当然聞こえる事を認識していたと思われる。
 本件機械音につき質問された被告には、機械音が発生する可能性につき、原告に告知する義務が存在し、それを告知しないまま契約したのは、詐欺行為となり、不法行為となる。
 原告は本件売買契約を詐欺により取り消す。

第5 消費者契約法違反による取消

 原告は、被告が本件機械音に対し、虚偽の説明をしたか、若しくはそれを怠ったことにより、音がしないものと誤解して契約した。
 消費者契約法第4条4項1号に該当する「物品の質」であり、契約の判断につき影響を及ぼす重要事項であることから、原告は本件売買契約を消費者契約法違反により取り消す。


《裁判》提訴

調停が終了してから2か月、地裁に提訴した。

調停の申請書は私が自分で書いたものだったが、
訴状は、睡眠妨害などの被害を追加したり、具体的な罪状・金額を載せて弁護士さんが作成した。

提訴の日もテレビ局が取材に来、裁判所正門前でインタビュー
弁護士さんと私が裁判所に入っていくところを撮影し、
この日も夕方に少し放送された。


しかし、よくテレビではみる裁判所なのだが、こうやって自分がお世話になろうとは、、