訴 状
不当利得返還等請求事件
訴訟物の価格 金○○○○万○○○○円
貼付印紙類 金○○万○○○○円
予納郵券 金○○○○円
請求の趣旨
1 被告は原告に対し、金○○○○万○○○○円及び内金○○○○万○○○○円に対する○○年○○月○○日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
請求の原因
第1 原告及び原告家族の生活状況並びにこれまでの経緯
本件居室の階下には24時間入出庫自由の機械式駐車機が設置されており、作動の際の昇降時「ウィーン」という機械音、横行時「トントントントン」という機械音が発生し、本件居室に響いている。
機械音の測定結果は、デシベル値(=dBA)では40デシベル、N値はN-45の固体伝搬音である。
マンションの共用設備から生じる固体伝搬音に関して、それはレベルの問題ではなく、聞こえるというだけで入居者に不快感を与える種類の音である。
原告及び原告家族は、本件機械音により睡眠を妨げられている。
住居で睡眠が十分にできることは当然の前提として住居を購入している。そこで、睡眠が満足にできないとなれば、それは居住スペースとして評価できない住居を購入したものであり、入居者は契約の目的を達することができず、売主としても債務の本旨に従った履行をしていない。
本件機械音が伝搬する経路については、現在も分かっていないが、理解に苦しむ呆れた施工がされている。
・居室床下には消火配管が吊るされているが、その配管は数十箇所にわたり本件駐車機に固定されていた→本件機械音が伝搬するような施工がされた上で販売されていた。
・マンション壁は遮音性に劣るGL工法を用いていた→機械音が駐車スペース内で響き、駐車スペース内壁から階上の居室へ伝わることは十分考えられた筈
施工図では、本件駐車機の天井にはリシンが吹き付けられているとされているが、実際にはリシンは吹き付けられていない。
○○弁護士会において暫定的な調停が成立している。
調停の際、原告より駐車機とマンション消火配管との引き離しを求めたが、不可能との事でゴムを噛ませたり、遮音工具の取り付けを双方協力し行ったが、効果は認められなかった。
第2 錯誤無効
原告は購入の際、販売員に対し、駐車機からの音が居室に伝わることはないかと質問したが、居室下は吹き抜けになっており伝わらないとの回答を得た。
原告は、販売員を通じて被告への確認も要請し、その回答としても問題ないとの事であった。
原告は、本件駐車機からは音がしないことを本件居室の購入の動機として明確に表示した上で、売買契約を締結した。
駐車機から発生する音が伝搬しないことが動機として表示されているところ、機械音が発生しているので、本件売買契約は錯誤により無効である。
本件と極めて類似するケースとして、居室下の給水設備を設置していた場合における、錯誤無効を認めた判例がある。
第3 瑕疵担保責任
就寝している時間帯に機械音により、原告らが目を覚まし、安眠ができないことは、当然、住居として適さない居室であり、隠れたる瑕疵である。
原告らがそれを甘受しなければならない理由はなく、明らかに受忍義務を超える。瑕疵担保責任に基づき、本件売買契約を解除する。
第4 詐欺取消及び不法行為に基づく損害賠償請求
被告は、機械音が本件居室には聞こえないと回答しているが、駐車機と消火配管の結合、壁をGL工法とするなら、当然聞こえる事を認識していたと思われる。
本件機械音につき質問された被告には、機械音が発生する可能性につき、原告に告知する義務が存在し、それを告知しないまま契約したのは、詐欺行為となり、不法行為となる。
原告は本件売買契約を詐欺により取り消す。
第5 消費者契約法違反による取消
原告は、被告が本件機械音に対し、虚偽の説明をしたか、若しくはそれを怠ったことにより、音がしないものと誤解して契約した。
消費者契約法第4条4項1号に該当する「物品の質」であり、契約の判断につき影響を及ぼす重要事項であることから、原告は本件売買契約を消費者契約法違反により取り消す。
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