2009年5月22日金曜日

《裁判》被告準備書面(3)

 
公判から一月後、被告の「準備書面(3)」が来た。


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第1、原告の準備書面の釈明事項に対する釈明

1、求釈明事項(1)「本件騒音に対する検討計画及び実験」に対する釈明

(1)求釈明事項①②③④⑤⑥⑧について

 被告は、音環境について、その効果等を保証したことはないが、内部的な設計指針としては居室内における騒音レベルを40dBA(但し、間欠音を除く)としていた。
 ↑調停時と同じ主張「居室内騒音レベル40が目標」(居室内騒音レベルとは一般的な暗騒音とも被告は言っている)
 その目標を達成するべくスラブ厚、ガラスサッシュの性能を上げる等して、上下階あるいは外部音の室内への透過を遮断するべく配慮した。
 また、設備機器のうち、電気室・ポンプ室については、設備騒音の発生が予想されたため、電気室については電気室の床を防振床とし、トランスの下に防振ゴムを敷設している。また、吊りボルトについても防振金具を採用している。ポンプ室については、住戸から離れた地下に配置し、ポンプの下に防振ゴムを敷設している。また、エントランスの玄関扉(自動扉)についても防振対策を講じている。
 ↑駐車機と関係のない部分の防音を列挙。
 駐車設備については、駐車機メーカーの中では多段式の駐車場について実績が豊富なシステムを採用し、メーカーの指導を得ながら、同社の仕様どおりに施工した。モーターについても最も騒音の小さいタイプであるインバーター制御のモーターを採用し、また、多段式の駐車場であることに鑑み、駐車機の支柱を受ける部分の基礎を大きくし、ピットスラブの厚を厚くし、大きな地中梁に緊結することにより駐車機から生じる振動を押さえるべく配慮した。
 それら配慮により、本件居室において、日常生活上支障となる音・振動は生じないものと予測していた。
 ↑結局①②③等個々には答えず、前回の書面「準備書面(2)」の”第2”を、ほぼそのままで書き写しただけ」
 (実際の文面では大手駐車機メーカーの実名も出ている。メーカーの指示通りにやったと強調しまくり)

(2)求釈明事項⑦について
~実験をしたことはないが、測定したことはある。

2、求釈明事項(2)「販売方法」に対する釈明

(1)求釈明事項①について
 ~別途証拠として提出された、販売時のパンフレットに記載されている内容の列挙~
 と、パンフレットに記載した。実際の説明についても、同様の説明をしている。

(2)求釈明事項②について
 特にマニュアルを作成しているわけではなく、仮定の質問には答えられない。
 ↑「駐車場からの騒音について質問されたら、何と答える予定であったか?」に対する返答がコレ

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で、この先、被告の求める「今の騒音はどうなんだ」に移っていく。。

2009年5月21日木曜日

《裁判》第五回公判

第四回公判から一ヶ月、傍聴。


地裁 第XXX号法廷
10:00~10:15


結局、この日までに原告の求める「釈明事項」に対する回答も、技術士意見に対する反応も、被告からは無かった。

被告弁護人からは、
とくに根拠も無く「40デシベルは問題ない。(防振工事をしたので)今はもっと低くなっている筈」との言い分のみ。


次回は、釈明するのだろうか。。。


2009年5月17日日曜日

《裁判》被告準備書面(2)

公判の一日前、被告の「準備書面(2)」が来た。

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第1、問題の所在

本件においては、まずもって本件居室内における対象騒音のレベルが客観的に確定されなければならない。
そのうえで、地域の環境、当該騒音の頻度・性質、発生原因等を客観的に明らかにし、その防止措置の有無・内容・効果・費用等をも検討し、平均人の通常の感覚ないし感受性を基準として、本件居室が通常有すべき性能を有しているか否か、が判断されなければならない。

第2、本件マンションの環境・行政上の規制等及び本件マンションにおける対処

1 (1)幹線道路から東に約275メートルのところの所在している
(2)所在地域は、都市計画法上は商業地域、特別業務地区、高度利用地区に指定されている。建築基準法上は建ぺい率80%~本件マンションは建ぺい率56.61%、容積率493.30%である
また、本件マンションは、市特別業務地区建築条例により、特別業務地区内の共同住宅として、住戸または住室部分のすべてを3階以上の階にしか配置できず、他方、市まちづくり推進条例により、住戸1戸につき1台以上の駐車設備を確保することが求められている。
(3)本件マンションにおいては、このような制約の下、1階部分に店舗、2階部分に集会室・電気室をそれぞれ配置したほか、住戸1戸につき1台の駐車機を配置したものである
2 (1)本件マンションにおいても、音環境については評価・表示項目からは除外されているが、被告の内部的な設計指針としては居室内における騒音レベルは40dBA(但し、間欠音を除く)を目標としている。
その内部的な目標を達成するべくスラブ厚、ガラスサッシュ等の性能を上げて、上下階あるいは外部音の室内への透過を遮断するべく配慮している。
また、設備機器のうち、電気室・ポンプ室については、設備騒音の発生が予想されたため、電気室については電気室の床を防振床とし、トランスの下に防振ゴムを敷設している。また、吊りボルトについても防振金具を採用している。ポンプ室については、住戸から離れた地下に配置し、ポンプの下に防振ゴムを敷設している。
被告がこれら対策を講じたのは、これらについては苦情が寄せられているという現状に配慮したものである。また、エントランスの玄関扉(自動扉)についても防振対策を講じている。
(3)これに対し、駐車設備については、駐車機メーカーの中では多段式の駐車場について実績が豊富なメーカーのシステムを採用している。
そして、同社の指導を得ながら、同社の仕様どおりに施行したものである。
モーターについても最も騒音の小さいタイプであるインバーター制御のモーターを採用し、また、多段式の駐車場であることに鑑み、駐車機の支柱を受ける部分の基礎を大きくし、ピットスラブの厚を厚くし、大きな地中梁に緊結することにより駐車機から生じる振動を押さえるべく配慮している。
(4)メーカーによれば、同社の施行例(全国で約8,000箇所)の中で、多段式の駐車設備を含め、本件のように騒音が問題とされた事例はない、とのことである。

第3、本件騒音問題についての経緯

省略(経緯を淡々と述べ、かつ、原告の言う通りの対策を行ってきたと主張)

第4、まとめ

1、もともと瑕疵となるべき騒音はないものと考えているが、誠意を持ってできる限りの対処をしてきた。専門家である調停委員の意見も承けて、消火配管等につき、防振対策を講じてきた。
それら、対策によって効果も生じているはずであるが、原告はそれらについてまったく触れるところがない。
2、現状では、本件居室における騒音レベルはまったく明らかにされておらず、まずもって原告はその点を明らかにすべきである。

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いつもながら、長文だけど、中身の薄い書面だった。
(実際このブログに詳細は載せていないが、パンフレットや所在市の条例文等、とにかく添付の証拠資料は山ほど付いている)

今までのこちらの数値的な主張や専門家の意見に特に返答はない。
(専門家が加わっているとは到底思えない、弁護士の作文のみという様に感じる)

駐車機の騒音苦情は聞いたこともなく、騒音が予想される個所(電気室等)はしっかり対策しているし、原告の言うことも聞いてきたと、アピール。
(これも、すべて読み飛ばしてもよい様な内容ばかりだが、裁判官に向けて、また裁判の記録上は誠意を見せてきたとの主張が必要なのだろう)

原告には、現状での騒音レベルを明らかにせよ。と、要求。
(調停後の防振工事後に音の測定をせずに、以前の結果で原告が主張している点を突いている)


2009年5月14日木曜日

《裁判》第四回公判

第三回公判から一ヶ月、もちろん傍聴(今回は妻と二人)。


地裁 第XXX号法廷
10:15~10:30

この日までに原告から意見書や陳述書や準備書面を出しているので、


裁判長:「(被告側の準備は)一ヶ月でできますか?」
被告弁護士:「がんばります」

で、おしまい。


がんばる結果を待つ。。。


2009年5月12日火曜日

《裁判》被告の釈明を求める「準備書面」

第四回公判の一週間前に出した、書面のひとつ。

弁護士さんが、”技術士「意見書」”を根拠に作成、提出。

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準備書面


1.意見書から明らかになった事実

(1)駐車機構造体がマンションの床から立ち上げられている鉄骨とマンション躯体の床の間に防振が施されていない。床そのものに防振床となる施工もされていない。
 従い、駐車機振動がそのままマンション躯体に伝搬し、階上の居室に騒音を発生させている。
 居室の下に設置するのであれば、振動がマンション躯体に伝わらないような施工をしなければならないが、被告はそれを怠っており、本件騒音を発生させている。

(2)マンションは元々静かな立地にあり、深夜、早朝時の暗騒音に関しては非常に静かである。その静かな暗騒音(25dBAあるいはそれ以下)から本件騒音(40dBA)が伝われば、その差が15dBAもあり感覚として非常に大きな音として聞こえる。
 深夜、早朝の睡眠時に15dBAの音量差がある音を聞かされれば、誰でも目を覚ますのは当然であり、受忍限度を超える。

2.釈明事項

 被告は、原告からは駐車場から聞こえる音について特に質問がなかったと ~
平然と嘯くような被告であれば、逆に被告は居室の下に駐車場を設置することに対してどれだけこれを意識し、対策を講じていたかと勘ぐりたくなる。

 そこで、以下のとおり釈明を求める。

(1)本件騒音に対する検討計画及び実験

 ①本件居室の室内騒音(影響騒音)に対し、如何なる予測をしていたか?
 ②本件発生騒音源と振動源につき如何に状況を把握していたか?
 ③本件居室の許容騒音レベルと要求条件について如何に検討していたか?
 ④本件居室の許容騒音レベル設計目標値を如何に設定していたか?
 ⑤本件居室での暗騒音と暗振動を如何に想定していたか?
 ⑥上記①乃至⑤を前提に、如何なる対策を具体的に講じていたか?
 ⑦上記①乃至⑤につき、被告はマンション建築後に実験等を行ったか否か、行っていた場合は実験結果につきデーターを開示されたい。
 ⑧本件駐車機につき駐車機鉄骨とマンション躯体との間に防振対策を講じなかった理由について?

(2)販売方法

 ①本件マンションを販売するに際し、音環境について如何なる説明を行った上で販売をしたか?
 ②本件居室において駐車場から聞こえる音について説明を求められたら、如何に回答する予定であったか?

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調停の時は、
素人であるこちらが専門的な事を交えて尋ねても、
応えないか、あるいは「一般的に」とか「常識の範囲内」とかの曖昧な返答ばかりだったが、
さずがに裁判では違うだろうと思っていた。

《裁判》原告「陳述書」

A4で14ページの「陳述書」を書いた。

項目だけ紹介すると、

2.本件建物を購入するに至った経緯
3.本件建物の入居直後の状況
4.被告による第一回騒音測定とその後の状況
5.被告による第二回騒音測定とその後の状況
6.専門業者による騒音測定と調停の申請
7.第一回目調停とその前後の状況
8.第二回目調停とその前後の状況
9.第三回目調停とその前後の状況
10.第四回目調停とその前後の状況
11.第五回目調停とその前後の状況
12.第六回目(最終)調停とその前後の状況
13.現在の状況
14.訴訟に至る経緯

この様なもので、
書き方はこのサイトを参考にさせていただいた。

2009年5月11日月曜日

《裁判》技術士「意見書」

第四回公判の一週間前、

・被告釈明を求める「準備書面」
・技術士「意見書」
・原告「陳述書」

を提出した。

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意見書


6.実地検証

~駐車機構造体が床から立ち上げられている鉄骨と床の間に防振が施されていない。
~振動が、防振対策のない床を通じて躯体に伝わり、上階の壁を含む構造体から騒音を発生する原因になっている。~固体伝搬音である~。

7.考察と意見

~測定時の暗騒音レベルと騒音レベルの差が12dBAであり、深夜に暗騒音が下がると差は大きくなり15dBAまたはそれ以上になるのではないかと思われる。
睡眠中に暗騒音との差が15dBA以上ある騒音が到来すると通常の人なら睡眠を妨害されると思う。
~ 連続する音と断続する音では、同じレベルでも断続する音のほうが大きく感ずる。~断続音がより障害になっていると思われる。
振動については加速度で測定が行われている。~横行時は2.9cm/s2である。3cm/s2としてデシベル計算すると70dBとなり振動加速度としては大きい。同じようなタイプの駐車場を持つ建物での測定結果の45dB前後と比較しても大きい。

8.まとめ

~周波数成分を見ると、500、1000Hzの人の感覚に敏感な周波数が多く含まれている点と、同じレベルの音でも断続音は連続音よりも大きく感ずるという音響心理の面からも~
~原告宅の暗騒音レベルは19時頃で28dBAなら深夜になると更に低下して静かになると考えられ~差が、15dBまたはそれ以上に大きくなるので、通常の生活者でも睡眠を妨害される。この状態が連日継続すると精神的障害を受けると思われる。暗騒音レベルとの間に15dBまたはそれ以上の差が生ずるのは問題である。~
 音の問題は、どのような音でも人間の感覚(心理)を無視しては考えられない。騒音についても同じである。集合住宅では燐戸間の騒音遮断や上下階の衝撃音遮断については注意が払われるようになったが、設備騒音の制御についてはいまだ十分でない感がある。本件のような駐車場を建物本体の中に取り込む場合、設計段階からの検討がなされていたかが焦点となる。
本件のように、夜間の暗騒音が静かな環境では、障害となる騒音のレベル基準を1乃至2ランク引き下げ、その差を5dB程度にすることが必要であると思う。
その意味で現在の騒音レベルは受忍限度を超えているといえる。

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ということで、

被告が被告の主張で述べていた、
「せいぜい数十秒程度」とか
「音は生じないと認識していた」とか
「一般通常人の感覚からすれば、日常生活上、なんら支障を来すことはなく、」
とかを、真っ向否定し、受忍限度を超えている としています。



《裁判》第三回公判

第二回公判から二ヶ月、今回は傍聴に行かず。

技術士さんの身内に不幸があり『意見書』が間に合わなかったので、
次回期日を決めるだけになるとの連絡が入り、行かなかった。

行かなかったのは、後にも先にもこの回だけでした。